法定相続情報一覧図に死亡した相続人を載せるべきか否か、それが問題だ

「法定相続情報一覧図」があると、
相続手続きで除籍謄本や戸籍謄本を大量に取得しなくて済みます。

では、法定相続情報一覧図とはどんなものかや
死亡した相続人も記載するのかなど書き方について詳しく見ていきましょう。

法定相続情報一覧図は家系図のようなもの

法定相続情報一覧図は、簡単に言うと相続手続きに使う家系図のようなものです。

被相続人である亡くなった人と配偶者や子供など相続人となる人が、
どういった続柄になっているのかを表した一覧図となります。

相続手続きで使うものですから、一般的な家系図と違って相続に関係の無い人物は
法定相続情報一覧図に掲載されません。

法定相続人になれるのは、亡くなった人の
 ・配偶者
 ・子供(非嫡出子を含む)、孫
 ・親、祖父母
 ・兄弟姉妹、甥姪
までです。

ただ法定相続人には順位があって、上記の人が全て相続人となるわけではありません。

法定相続において配偶者は必ず相続人となり、子供が相続順位1位、
亡くなった人の親が2位、兄弟姉妹が3位となります。

孫は子供、祖父母は親、甥姪は兄弟姉妹の代襲相続人で、
本来相続人となる人が既に亡くなっている場合のみ相続人となれます。

例えばAという人が亡くなった時点で、既に子供Bが亡くなっている場合に
孫Cが子供Bに代わって相続人となるといった形です。

法定相続では一番順位の高いものだけが相続人となるので、子供が居ると
親と兄弟姉妹は相続人になれず、法定相続情報一覧図には掲載しません。

子供が居らず親が健在であれば親が相続人、子供も親も居なければ兄弟姉妹が
相続人となり、それぞれ法定相続情報一覧図に掲載されることになるのです。

法定相続情報一覧図については、
法務局のホームページに様式と記載例があるので参考にしてください。
(参照:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000015.html)

法定相続情報一覧図には法務局の認証が必要

法定相続情報一覧図は単に作成するば良いだけではなく、
法務局の認証を受けることで初めて法的効力が発生します。

要するに、法務局で認証を受けないと法定相続情報一覧図は
相続手続きに使えないということです。

法務局のホームページで様式をダウンロードするなどして法定相続情報一覧図を
作成し、必要書類を添えて法務局に提出します。

法務局の登記官が一覧図と必要書類をチェックして、
問題が無ければ専用の用紙に認証文を付けて印刷、交付となります。

厳密に言うと登記官の認証文が付いてないのは単なる家系図で、
認証文が付いて初めて法定相続情報一覧図となるのです。

法定相続情報一覧図の認証に必要な書類

法定相続情報一覧図の認証に必要な書類は以下の通りです。
 ・亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本(除籍謄本)
 ・相続人の戸籍謄本(抄本)
 ・亡くなった人の住民票除票
 ・申請者の本人確認書類

法定相続情報一覧図に亡くなった人の兄弟姉妹が含まれる場合は、
亡くなった人の両親の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本も必要となります。

戸籍謄本や除籍謄本は本籍地で取得するもので、亡くなった人が本籍地を
変更している場合は変更前の本籍地でも取得しなければいけません。

例えば亡くなった人が生まれた時は本籍が大阪府大阪市、
結婚して本籍地を東京都新宿区に移したとします。

亡くなった人の戸籍謄本は生まれてから亡くなるまで必要なので、亡くなった時の
新宿区だけでなく生まれた時の大阪市でも取得しなければいけないということです。

亡くなった人の住民票除票は、
亡くなった人が最後に住民票を置いていた市区町村で取得できます。

申請者の本人確認書類は
 ・運転免許証
 ・マイナンバーカード
 ・住民票
のいずれか1種類です。

運転免許証かマイナンバーカードを使う場合は、表面をコピーした裏に
「原本と相違ない」と記載した上で記名押印しておかないといけません。

法定相続情報一覧図の認証に必要な書類については
法務局のホームページも参考にしてください。
(参照:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001331404.pdf)

法定相続情報一覧図の認証を受ける法務局

法定相続情報一覧図の認証を受ける法務局はどこでも良いわけではなく
 ・亡くなった人の本籍地
 ・亡くなった人の最後の居住地
 ・申請者の居住地
 ・亡くなった人が所有している不動産の所在地
のいずれかを管轄している法務局となります。

遠方に足を運んで手続するのも手間ですから、
基本的には申請者の居住地を管轄する法務局を選ぶのが一般的です。

各地方法務局の管轄や場所は法務局のホームページで確認できます。
(参照:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html)

ちなみに法定相続情報一覧図の認証を受けるのに手数料はかかりません。

法定相続情報一覧図は何に使える?

法定相続情報一覧図は
 ・不動産の名義変更(相続登記)
 ・預貯金の払い戻し、名義変更
 ・株式や投資信託の名義変更
 ・相続した車や船の名義変更
 ・相続税の申告、納付
で使えます。

ただし金融機関や証券会社などの民間企業は、
法定相続情報証明制度に対応していないケースも少なくありません。

金融機関など民間企業での相続手続きの際は、
事前に法定相続情報一覧図が使えるか確認しておきましょう。

通常であれば、上記の手続きには亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの
戸籍謄本や相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書など大量の書類が必要です。

戸籍謄本や印鑑証明書は原本を求められることも多く、
手続きに必要なだけ取得していると取得手数料がそれなりの金額になってしまいます。

法定相続情報一覧図があれば、上記の手続きに亡くなった人の戸籍謄本や
相続人全員の戸籍謄本が不要となります。

手続きに必要な書類の用意にかかる手間とお金を法定相続情報一覧図で
大幅に減らせるのです。

法定相続情報一覧図には既に死亡した相続人も掲載する?

法定相続情報一覧図は一般的な家系図とは違うので、
基本的に亡くなった人と相続人しか掲載しません。

相続が発生した時点で既に死亡している人は相続人なれないので、
法定相続情報一覧図に死亡した相続人は掲載しないのです。

ただし既に死亡した相続人に子供が居る場合は、
その子供が代襲相続人となって法定相続情報一覧図に掲載されます。

まだ生まれていない胎児も法定相続情報一覧図に掲載する?

配偶者である女性のお腹の中に赤ちゃんが居る時に、
赤ちゃんの父親である男性が若くして亡くなってしまうといったことがあります。

法定相続情報一覧図に掲載されるのは、
被相続人が亡くなった時点で戸籍情報が確認できる相続人だけです。

母親のお腹の中に居る胎児は被相続人の子供ですが、被相続人が亡くなった
時点では戸籍がありませんから法定相続情報一覧図には掲載されません。

ただ民法では胎児にも相続権が認められており、被相続人にまだ生まれていない
子供が居る場合はその子供を含めて遺産分割する必要があります。

胎児が生まれる前に法定相続情報一覧図を作成したり遺産分割を行っても、
胎児が生まれた時点でそれらは無効となってしまうのです。

被相続人が亡くなった時点で胎児だった子供が生まれてから、
法定相続情報一覧図を作成して相続手続きを開始することになります。

父親が亡くなった時に作った法定相続情報一覧図は母親の時にも使える?

法定相続情報一覧図に有効期限はありませんが、
一つの相続につき一つしか作れないことになっています。

父親が亡くなった時に作った法定相続情報一覧図を、
母親が亡くなった時に使うことはできないのです。

母親が亡くなった時には、
母親を中心とした法定相続情報一覧図を新たに作成する必要があります。

まとめ

法定相続情報一覧図を作成することで、
相続手続きにかかる手間が少しですが省けます。

ただ死亡した相続人は掲載しないなど法定相続情報一覧図の作成には
一定のルールがあり、ルールに沿ったものでないと法務局の認証が受けられません。

法定相続情報一覧図を作る際には、
法務局や司法書士などの専門家に相談するのも良いでしょう。

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