親や配偶者など近しい親族が亡くなった時の相続手続きの1つに、
故人が使っていた「金融機関口座の解約」があります。
では三菱UFJ銀行で名義人本人死亡となった場合の口座解約方法などについて
詳しく見ていきましょう。
本人死亡の場合の三菱UFJ銀行口座解約方法
口座の名義人本人が亡くなった場合は、
まず名義人本人が亡くなったことを三菱UFJ銀行に連絡します。
三菱UFJ銀行には「相続オフィス」という専門部署があり、
相続オフィスに連絡することで名義人本人が亡くなった口座の解約手続きが始まります。
相談オフィスへの連絡方法はインターネット・電話・来店の3種類です。
インターネットの場合は、パソコンやスマホで三菱UFJ銀行のホームページに
アクセスして「相続手続きのご案内」のページへ進みます。
(参照:https://www.bk.mufg.jp/tsukau/tetsuduki/sozoku/point.html)
「Webでのご案内」の項目内にある「受付フォーム」で指示に従って
必要事項を入力すればOKです。
インターネットでは24時間365日受け付けており、
受付後一週間ほどで本人死亡の口座解約手続きに関する書類が送付されてきます。
電話の場合は「0120-39-1034」にダイヤルして、
口座の名義人が亡くなったことを伝えます。
電話での受付は祝日を除く月曜から金曜の9時から16時で、
12月31日から1月3日までの年末年始は受け付けていません。
込み合う時間も多いため、電話だとオペレーターに繋がるまで長く待たされる恐れが
あるので、できればインターネットか来店して連絡するのがおすすめです。
来店の場合は三菱UFJ銀行の店舗ならどこでもOKで、
特に名義人が取引していた店舗に足を運ぶ必要はありません。
電話と同様に店舗も待たされる恐れがありますが、
事前に来店予約をしておけばスムーズに案内してもらえます。
窓口で直接やり取りするのではなく、
店舗にあるテレビ電話を使って相続オフィスとやり取りする形です。
名義人が亡くなったことを連絡した時点で、
三菱UFJ銀行の口座は凍結されて引き出しなど一切の取引ができなくなります。
口座解約手続きに必要な書類の準備
名義人が亡くなったことを三菱UFJ銀行に連絡したら、
次は口座解約手続きに必要な書類の準備です。
本人死亡の口座解約に必要な書類は以下の通りです。
・遺言書もしくは遺産分割協議書
・亡くなった口座名義人の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人の戸籍謄本
・相続人の印鑑証明書
・解約する口座の通帳やキャッシュカード
遺言書は、公正証書遺言か家庭裁判所で検認を受けて検認済証明書が
交付されたものでなければいけません。
遺言書や遺産分割協議書が無くても手続き可能ですから、
無理に遺産分割協議書を作る必要はありません。
亡くなった口座名義人が本籍地を変更している場合は、
出生まで遡って全ての本籍地で戸籍謄本を取得する必要があります。
印鑑証明書は発行から6か月以内のもので、
通帳やキャッシュカードは無くても手続き可能です。
戸籍謄本と印鑑証明書は原本が必要となっており、
戸籍謄本は返却してもらうこともできます。
また亡くなった口座名義人の兄弟姉妹が相続人となっている場合は、
口座名義人やその兄弟姉妹の両親の出生から死亡までの戸籍謄本も必要です。
口座解約に必要な書類の提出と払い戻し
手続きに必要な書類が準備できたら、
三菱UFJ銀行所定の「相続届」と一緒に相続オフィスに送付します。
口座名義人が亡くなったことを相続オフィスに連絡すると相続届とともに
返信用封筒が送られてくるので、その封筒を使って送付すればOKです。
三菱UFJ銀行の支店窓口に、
本人死亡の口座解約に必要な書類を提出することもできます。
相続届など必要な書類を提出してから約2週間で、
故人が使っていた口座に入っていた預金が払い戻されます。
ちなみに払い戻しは1人の相続人に一括で行われ、
複数の相続人に分割して払い戻してもらうことはできません。
本人死亡で三菱UFJ銀行の口座を放置するとどうなる?
口座名義人が亡くなって三菱UFJ銀行の口座を解約せずに放置しておいても、
特にどうにもなりません。
2023年9月時点では、口座名義人が亡くなったことを取引金融機関に伝えずに
放置することに対するペナルティは設けられていません。
三菱UFJ銀行から解約手続きするように督促されることも無く、
実際に本人死亡のまま口座が放置されているケースも少なからずあります。
特に口座残高がゼロなど少ない場合には、
手続きにかかる手間と費用を考えると解約せずに放置するのも1つの方法です。
ただ今後、故人の口座を放置していると
何らかのペナルティが課せられるようになることも無いとは言えません。
残高ゼロならともかく多少でも残高が残っているなら、
解約手続きしておくのがベターです。
故人の口座を放置すると預金が接収される?
故人の口座を放置し続けても、
口座に入っている預金が金融機関や国に接収されることは基本的にありません。
預金は金融機関にとっては債務、預金者にとっては債権となります。
民法では、債権者が債権を行使できることを知ってから5年、
行使できる時から10年経過しても行使しないと債権が消滅することになっています。
この規定に則ると少なくとも10年以上故人の口座を放置すると、
預金者にとっての債券である預金が金融機関に接収されることになるのです。
しかし実際に債権が消滅するには、
債務者が債権者に対して「時効なので返済しない」旨を主張する必要があります。
ほとんどの金融機関が預金者に対して「時効なので返済しない」旨を主張することは
無いので、故人の口座を放置し続けても預金が接収されることはないのです。
少し話が逸れますが、
ゆうちょ銀行が民営化される前の郵便貯金の権利消滅が話題になっています。
ゆうちょ銀行が民営化される前に預け入れた郵便貯金に対しては、
「郵便貯金法」(現在は廃止)が適用されます。
郵便貯金法では定期貯金や定額貯金は満期の翌日から20年2か月経過で
権利消滅することになっているので、放置し続けると貯金が国庫に接収されるのです。
遺言書や遺産分割協議書があることを金融機関に伝えない方が良い?
故人の口座を解約する際には、
遺言書や分割協議書があることを金融機関に伝える必要はありません。
少なくとも三菱UFJ銀行では、遺言書や遺産分割協議書が無くても
故人の口座を解約して預金を払い戻すことができます。
遺言書がある場合、
公正証書遺言でない限りは家庭裁判所で検認を受けなければいけません。
遺産分割協議書は検認不要ですが、
内容に不備があると故人の口座解約手続きができなくなります。
口座解約以外にも相続手続きはありますから、少しでも手間を省くのであれば
遺言書や遺産分割協議書があることを金融機関に伝えない方が良いのです。
故人の口座が凍結されても預金が引き出せる?
口座名義人が亡くなったことを金融機関に連絡すると口座が凍結されますが、
実は凍結されても口座からお金を引き出すことは可能です。
預貯金の仮払い制度というもので、葬儀費用や故人の借金返済などのために
相続手続き前に凍結された口座からお金を引き出すことが認められています。
ただし引き出せる金額に上限があり、
・本人死亡時の残高×法定相続分×1/3
・150万円
の低い方までです。
最大150万円までしか引き出せませんが、まとまったお金が手元に無くて
葬儀費用が払えないなどといった場合には仮払い制度を利用すると良いでしょう。
まとめ
口座名義人が亡くなった時の三菱UFJ銀行の口座解約方法を紹介しました。
基本的には相続人が行う手続きですが、弁護士や司法書士、行政書士といった
専門家に代行してもらうことも可能です。
どうしても自分で手続することが難しい場合には、
相続に強い弁護士などの専門家に相談しましょう。