相続手続きの1つが「生命保険金の請求」ですが、
そもそも故人が生命保険に加入していたかどうかが分からないケースもあります。
そこで故人の生命保険への加入有無の調べ方について詳しく見ていきましょう。
故人が生命保険に入っていたかどうかを調べる方法
自分が相続人や受取人となるケースで、
故人が生命保険に入っていたかどうかを調べるにはいくつか方法があります。
一番簡単で確実、後の保険金の請求手続きもスムーズに行えるのが
「保険証券」を見つけることです。
保険証券は保険会社と被保険者が保険契約を結ぶと必ず発行されるもので、
保険内容など保険金請求に必要な情報が全て記載されています。
特に保険証券に記載されている「証券番号」が分からないと、
保険内容の確認や保険金請求のハードルが上がってしまいます。
保険証券は紛失・破棄しないよう大事に保管していることが多いですから、
故人が大事な物をしまっていそうな場所を探せば見つかる可能性が高いです。
保険会社から故人宛ての郵便物で調べる
故人が生命保険に加入していると、
必ずと言って良いほど保険会社から故人宛てに郵便物が届いているはずです。
年に1回送られてくる「ご契約内容のお知らせ」や「生命保険料控除証明書」で、
証券番号など保険会社への問い合わせに必要な情報が分かります。
保険会社から送られてくる郵便物は保険証券に比べると重要度が低いため、
保険証券より見つけやすい場所に置かれていることが多いです。
保険証券が簡単に見つからない場合は、
保険会社から送られてきた郵便物を探すと良いかもしれません。
故人がデジタルに強いならパソコンやスマホを調べる
故人が使っていたパソコンやスマホで、
加入している生命保険について確認する調べ方もあります。
最近は資源保護や温暖化対策としてペーパーレス化を進める企業が多くなっており、
保険会社も例外ではありません。
契約内容のお知らせなどの郵便物はもちろん、
保険証券も電子データで受け取れるようになっています。
保険証券を電子データにすると保険料が安くなるケースもあるので、
デジタルに強い人は保険証券を電子データ化していることが少なくないのです。
故人が使っていたパソコンやスマホのブラウザで、
保険会社のホームページがブックマークされていないかチェックしましょう。
各種お知らせがメールで送られてきていることも考えられますから、
メールボックスも確認しておく方が良いです。
ブラウザにはIDやパスワードを記憶、自動入力する機能が備わっており、それを
使えばIDやパスワードが分からなくても保険会社のホームページにログインできます。
ただし自動入力機能を使うには、ChromeならGoogleアカウントなど
ブラウザのシステムにログインする必要があるので注意してください。
通帳やクレジットカードの明細で調べる
故人の生命保険加入の有無は、
通帳やクレジットカードの明細を使った調べ方もあります。
生命保険の保険料支払い方法は一般的に
・月払い
・年払い
・一括払い
の3種類です。
月払いか年払いであれば口座振替もしくはクレジットカード払いにしている可能性が高く、
通帳やクレジットカードの明細で保険料の支払先が確認できます。
一括払いは保険会社が保険料全額を預かり、
預かった中から1年ごとの保険料を徴収する形となります。
保険料全額を一括で払っているものの、手続き上は年払いと同じ形のため
毎年領収書である「保険料払込証明書」が送られてくるのです。
保険会社から送られてくる払込票を使って現金で保険料を支払っている場合も、
保険料払込証明書が故人の手元にあるはずです。
通帳やクレジットカードの明細、払込証明書で、
少なくとも故人が生命保険に加入している保険会社が分かります。
後は、故人が亡くなったことや自身が故人の相続人・保険受取人であることを
保険会社に伝えて保険内容について問い合わせてください。
証券番号が分からないと電話で確認することは難しい
通帳やクレジットカードの明細、払込証明書で保険会社が分かっても、証券番号が
分からないと電話では故人が加入していた生命保険について調べることは難しいです。
生命保険の情報は高度な個人情報ですから、保険会社としても被保険者と
問い合わせた人の関係がハッキリしないことには保険内容を教えることはできません。
故人である被保険者と問い合わせた人の関係を確認するために
・死亡診断書など故人が亡くなったことが分かる書類
・戸籍謄本など故人と問い合わせた人の関係が分かる書類
・問い合わせた人の本人確認書類
といった書類を用意して保険会社の窓口に足を運んで問い合わせる必要があります。
故人の勤務先で調べる
故人が亡くなるまで会社勤めをしていた場合は、
故人の生命保険の加入有無を勤務先に問い合わせる調べ方もあります。
会社によっては団体で生命保険に加入していることがあり、
その場合は加入有無だけでなく保険内容や保険金請求についても教えてもらえます。
会社で加入していない場合でも、故人が年末調整の際に「生命保険料控除証明書」を
経理担当者や保険担当者に提出しているはずです。
生命保険料控除証明書で、
保険内容の確認に必要な契約している保険会社と証券番号が分かります。
生命保険契約照会制度を使って調べる
保険証書が見つからない、パソコンやスマホ、通帳、クレジットカードの明細にも
手がかりが無い場合は「生命保険契約照会制度」を利用しましょう。
生命保険契約照会制度は、故人や認知症などで判断能力が著しく低下した本人に
代わって親族などが生命保険契約の有無を照会する制度のことです。
一般社団法人生命保険協会が行っている制度で、
生命保険協会に加入している42社の保険会社に一括で照会できます。
元々は災害で亡くなったり行方不明になった人の生命保険契約を調べるための
制度でしたが、2021年7月から対象が拡大されました。
現在は亡くなった原因に関わらず、
健在でも認知機能が著しく低下している場合に照会できるようになっています。
ただし災害で亡くなったり行方不明になった場合以外は、
照会対象者1名につき3,000円の手数料が発生します。
例えば父親か母親いずれ1人だけの照会なら3,000円ですが、
両親ともに照会する場合は6,000円必要です。
生命保険協会を通して加盟42社の保険会社に照会を申し込み、
保険会社から保険契約の有無が生命保険協会を通して回答されます。
照会申請して手数料の支払いが完了してから大体2週間で回答が返ってきます。
保険契約の有無のみの回答で、保険内容や保険金請求については
回答を元に各保険会社に直接問い合わせなければいけません。
生命保険契約照会制度は誰でも利用できるわけではない
生命保険契約照会制度は誰でも利用できるわけでありません。
利用できるのは
・照会対象者の法定相続人
・照会対象者の法定相続人の法定代理人もしくは任意代理人
・照会対象者の遺言執行者
・照会対象者の遺言執行者の任意代理人
のみとなっています。
故人に配偶者と子供が居ると、故人の親や兄弟は法定代理人にならないので
生命保険契約照会制度は利用できないのです。
また生命保険契約照会制度における任意代理人は、
弁護士・司法書士・行政書士のいずれかに限定されています。
生命保険契約照会制度についての詳細は生命保険協会のホームページで
確認してください。
(参照:https://www.seiho.or.jp/contact/inquiry/)
まとめ
故人の生命保険加入有無の調べ方を紹介しましたが、
基本的には近しい親族が亡くなったら保険証券を探すのが第一です。
生命保険契約照会制度は有料ですし、
探せるだけ探しても手掛かりがない場合の最終手段として利用すると良いでしょう。
近しい親族が亡くなるとしばらくは悲しむ暇が無いほどバタバタしますが、
保険金請求には3年の時効があるので忘れないようにしてください。